『 トウヨウノ
ウツクシイ
ヤキモノニ
マケナイモノ
ツクレ 』
1700年頃
ヨーロッパのアウグスト王は言った
という前回記事の続きで
大航海時代によって運ばれてきた東洋焼物はヨーロッパ王族にコレクションされるまでになっていた
東洋から輸入される1枚の皿と兵士が交換されたという逸話も残されている
ヨーロッパのアウグスト王は集めるだけでは飽き足らず自らの国でも作りたいと熱望した
だが東洋焼物がどんな成分と分量で作られているのかわからず 作れる者を探してもなかなか見つからない
そんな時
ある町に 錬金術師がいる
という情報をキャッチしたアウグスト王はその錬金術師ならば東洋焼物を再現して作れるかもしれない
と
すぐに城へ連れて来させ話を聞いた
すると実は錬金術というより貴金属を作る研究や 賢者の石と呼ばれる不老長寿の薬を作る研究をしているだけだったのだ
それでもアウグスト王はその錬金術師を城に幽閉し 何としても作るように指示
無理ですよ無理ですよ〜と言ったかはわからないが
錬金術師は何度も逃亡
そして何度も捕らえられた
監視体制も厳しくなり自由も奪われ色々な事を考えた事だろう
やがて
10年もの歳月が経った1710年
錬金術師は
なんと
信じられないことに
東洋焼物を解明し
作り出すことに成功したのである
その瞬間 ヨーロッパで初となる白磁ブランド
マイセン が誕生した
ひたすら逃亡しては捕獲されを繰り返していただけではなかったのだ
ちゃっかり研究に取り組んでいたのだ
アウグスト王も大いに喜んだが 同時にこの技術が外に漏れてしまうことを恐れ 錬金術師は死ぬまで幽閉させられるのだった
それから300年
手に吸い付くような質感と
優美な絵と
透き通る白
東洋焼物を再現して錬金術師によって作られた マイセン は揺るぎない評価を得て
今もヨーロッパ白磁界の王者として君臨する
幾度となく幽閉され早く自由になりたいという一心だったかはわからないが
実力で マイセン を誕生させ歴史に名を残し
今夜も語られるその男の名は