和室の壁を新しくしたい時
クロス しっくい けいそうど どれを選ぶかは自由だが
私は じゅらく を塗るだろう
和室がそこにあるのであれば じゅらく を塗る事は現代人の宿命と考える
注:じゅらく職人の塗るものとは異なる
そう、今まさに塗り壁が剥がれかけた和室が目の前にある
星野源は好きだが私は逃げもかくれもしない
ならば私がここに立つ理由は1つ
じゅらく を塗る それだけだ
では3秒で順序を説明する
注:じゅらく職人の塗るものとは異なる
床や壁にみっちり養生→剥がれかけの壁を全て剥がす→専用シーラーを塗る(じゅらく の密着を高めるためとアクが出ないよう)じゅらく 下塗り→じゅらく 本塗り→いにしえの京に思いを馳せる 以上
精神修業とも言えるこの作業は必ず何かの役に立つはずだ
では参る
まず剥がれかけの土壁をヘラやハンマーでガリガリ剥がすが、これがかなりの重労働で生半可な覚悟ではすぐに折られると心得るべし
次に専用シーラーを塗るが無色透明で油断していると気づいたら部屋中に臭気が立ち込める 換気とマスクを忘れてはならない
いよいよ じゅらく 下塗りだが 家庭化学工業の -高級じゅらく壁 京壁- は水を混ぜるだけで作る事が出来、思ったよりしっかりコテで伸ばせて塗りやすい こりゃ助かった
だが気をつけないと塗ったそばから固まりだし色合いも変化を始める 塗り出せば一気に終わらせる必要がある 立ち止まることは恥で役に立たない
乾いたらついに じゅらく 本塗りだが、これが表面に全て現れる 己の精神力が姿となり壁に表れる
1発勝負だから難しい! 1発勝負だから美しい! 誰にだってあるあの時にこう言えていれば! あの瞬間にこうしていれば!
だがあの時には戻らない!
それを悔い、諦めなければならない!
それでいい!
その意味を理解しようとした時
初めて
わびさびというものの美しさを知る
そして全て塗り終わった
塗った直後でムラに見えるが乾きながら馴染んでいく
出来上がりは主張し過ぎない美しさがある 見とれて何とも言えず思わず歌をうたってしまった
見渡せば 〜花も紅葉もなかりけり 〜浦のとま屋の 秋の夕暮れ〜
最後に じゅらく の持つ特徴を列挙する
・ 湿気を吸い涼しい調湿効果がある
・ 空気を綺麗にする消臭効果がある
・ 災害時に命を守る防火性に優れる
一方で
・ ぶつけると砂がポロポロ落ちる
・高い技術を持った本職に頼むと高価
酸いも甘いも受け入れ、あらゆる精神修業を超えた者に じゅらく が待つ
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