ある日 押し入れの整理をしていると
ホコリまみれのダンボールを見つけた
これには何を入れていたかなと
眼を閉じ四次元の都をさまよったが どうにも思い出せない
恐る恐るダンボールを開けると
黒光りして出てきたのは
急須
そう かつて東北地方一帯に勢力を張った豪族 奥州FUJIWARA
その 奥州FUJIWARA が最強鋳物師を東北に集結させ作らせたのが
この伝説の急須 その名も
南 部 鉄 器
1000年の歴史 深い土の中のようなひんやりとした触り心地 実に不思議なオーラを放つ
なぜ これだけのシロモノを、、
私は一体どこで、、
自らの頬に平手打ちをし
まるで聖火ランナーの如く南部鉄器を持ち上げキッチンへ走った
キッチンカウンターで立ち止まり火を灯すかの如く 大声援を想像しながらゆっくりと
確実に
置いた
素晴らしい この風格 こじんまりとしながら周囲にあるもの全体を引き上げる存在感
近所の和式にも置きたくなった
研ぎ澄まされた凛とした表情
和空間を一層洗練させる見事な漆黒
南部鉄器は飾るのでなく南部鉄器が空間を飾りだす
これが、、 骨董というものか、、
骨董、、
骨董! そうだ!!
私はその時ようやくどこで手に入れたのかを思い出したのだった
続く
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