今から400年前
徳川家康が世の中を仕切りだした江戸時代
加賀(石川県加賀市)の深い深い山奥で陶石が発見される
かぶき者と言われた加賀藩主は陶石を使ってここを磁器の生産地にしようと考えた
※かぶき者とは風変わりや型破りの人を言う。
これからは磁器じゃ
後藤くん
佐賀県に行って有田焼の技術を会得してきてくれぬか
後藤はすぐに佐賀県へ走った
実はこのかぶき者の加賀藩主
なんと華麗なる前田一族に名を連ねる
●前田 利常●
前田慶次や前田利家の家系だからかぶき者って言ってるだけだろー
と思うかもしれないが
こう呼ぶ者もいる
鼻 毛 大 名
そう鼻毛を伸ばし続けていた珍しい藩主なのだ
伸ばさなければイケメンといわれていたのにだ
もうこれだけで納得のかぶき者だ
ただ側近たちはどうにかして鼻毛が出ている事に気づいてほしいと
手鏡を献上したり 自分の鼻を触ってみたりと努力していたらしい
そんなある日
鼻毛大名は皆を集めこう言い放った
皆がわしの鼻毛を気にしている事はわかっている
しかしこの鼻毛は加賀や民を守るための鼻毛じゃ
この鼻毛で皆を守りたいんじゃ
どうかわかってくれ
決してふざけていた訳ではない
これには相当な理由がある
加賀藩というのは徳川家康の仕切る時代においても勢力があり徳川家康に謀反を起こすかもしれないと警戒されていた
前田利常暗殺計画や加賀征伐計画が浮上していたとも言われる程だ
そこで加賀藩主●前田利常●が考えた対策が鼻毛を伸ばしてバカなフリをし警戒されないようにしようというものだった
また 鼻毛だけではなく江戸城に出向いた際にも口を半開きにしてボケたフリをしたり股間を出したりしていたという
加賀藩主という立場でありながらその地位に驕る事なく自ら体を張り
見事に徳川家康から加賀を守り抜いたリーダーなのだ
凄いのは武器ではなく鼻毛で守ったという事だ
どこの国の歴史に同じ真似のできるリーダーがいるだろうか
その姿こそ武士道 いや鼻毛道であり一人の男としても見習わなければならない
それだけでなく城下町の整備や産業発展や美術工芸を育成するなど政治力までも発揮
政治は
一 加賀、二 土佐
と言われるまでになっていた
ところで
佐賀県に行っていた後藤はどうなったかというと
長年の苦労の末ついに有田焼の技術を会得
ようやく加賀へ帰りついていた
後藤は帰り着くなり窯元を開業
そこで焼成された磁器こそが
令和の現代まで引き継がれる事となる伝統の磁器ブランド
九谷焼である
九谷焼にも様々ありこちらは九谷栄山
絵が繊細で タッチの一つ一つに立体感がある
多色の絵付けが持ち味で 配色の美しさに見入ってしまう
圧巻の彩色美
加賀藩主●前田利常●の期待に後藤は見事に答えてみせた
鼻毛で民を幸せにするリーダーの背中を見て 後藤も人生を焼成していたのかもしれない
今では日本だけでなく海外からの評価も高く ジャパン クタニ と呼ばれていたり
宮内庁より海外への贈答品にすることもあるという
その他にも ドラえもんやミッフィーなど伝統だけに頼ることなく革新を織り交ぜながら常に時代に立ち続けている
400年前 鼻毛をぶら下げ 自らが先頭に立ち続けたあの かぶき者 のように
ー エピローグ ー
九谷焼には空白の100年や解けない暗号があるなど 謎の多い磁器とも言われている